私は、小学校教員として約20年間勤め、2025年3月末に退職しました。
その数年前から、うつ病によって休職をしており、現在は静かに自分と向き合う時間を過ごしています。
今回は、2023年2月から始めた「認知行動療法(以下:CBT)」について、シリーズとして書いていきたいと思います。
この記事では、CBTを受けることになったきっかけや、初期のセッションを通して感じたこと、考えたことを綴ります。
「3つ目の病院」で出会ったCBT
2022年12月から、私は現在通っているメンタルクリニック(3つ目の病院)に通院を始めました。
その経緯については、こちらの記事でお伝えしています。
▶︎ 3つ目の病院へ──「変わるきっかけ」は小さな勇気だった
この病院では診察に加えて、カウンセリングや認知行動療法(CBT)、デイサービスプログラムも受けられるということを、前の病院の医師から紹介してもらったのがきっかけです。
通院開始から少し経った2023年2月、主治医からCBTを勧められ、プログラムに参加することに。
実施は月に1回(初月の2月のみ2回)で、2023年11月まで続けました。
診察とCBTは別の日程で行われており、それぞれの時間が、私にとって深い内省の場となっていきました。
「自分のクセ」に向き合うための時間
認知行動療法(CBT: Cognitive Behavioral Therapy)は、「自分の考え方」や「行動パターン」に気づき、それらを見直していく心理療法です。
うつ病や不安障害に効果があるとされ、医療現場でも多く取り入れられています。
実は私は大学時代に心理学を専攻していたことがありました。
「CBT」についても、講義や文献を通じて学び、実習では被験者としてワークシートに取り組んだ経験もあります。
当時は「困っている人を助けたい」という思いを持って心理学を学んでいて、CBTもその手段の一つとして捉えていました。
けれど、自分が“患者”としてCBTを受ける立場になるとは思ってもいませんでした。
2023年、心療内科で勧められて本格的に取り組み始めたCBTは、思っていた以上にエネルギーを使うものでした。
特に最初の数回は、ワークシートに記入すること自体がとても苦しく感じました。
頭では「書けば整理される」とわかっていても、言葉にする気力が湧かず、ネガティブな感情を直視するのもつらかった。
“うつ病”という状態が、思考と言葉の回路までも鈍らせていたのかもしれません。
CBTのセッションは、臨床心理士の先生と1対1の個室で行われました。
先生は冷静で落ち着いた語り口ながらも、私の話にじっくり耳を傾け、「待つ」という姿勢で向き合ってくれました。
その“沈黙のあいだ”に安心感があり、「ちゃんと受け止めてもらえるんだ」と感じられたことが、何より救いだった気がします。
思考を言葉にすることの意味
CBTの中で、自分の「考えグセ」に気づく場面が何度もありました。
「また同じことで悩んでるな」
「こういうとき、自分はいつも“最悪”を想定してしまうんだ」
そんな気づきを得るたびに、思考が少しずつ“距離”を持てるようになっていきました。
不安がゼロになることはありません。
でも、「もしかしたら何とかなるかも」と思えるようになったのは、ワークシートに書くという行動を通して、思考を可視化し、感情と切り離すことができるようになってきたからだと思います。
言葉にすることで、心の中のもやもやが少しずつ晴れていく。
CBTのはじめの一歩は、まさにその“実感”を得る時間だったように感じます。
プログラムの目的と流れ
私が受けたCBTは、「ストレスにめげない自分をつくる基礎プログラム」という名称で、
以下のようなステップに沿って進んでいきました:
【1回目】インテーク面接と心理検査
【2~5回目】病気(うつ病や気分障害など)への理解を深める(心理教育編)
【6~8回目】日常のストレス場面での対処法を見直す(自己変容編)
【9~10回目】今後に向けて得たスキルを定着させる(フォローアップ編)
次回以降は、「CBTで実際に取り組んだこと」や「ワークシートの内容」などを詳しくご紹介していきたいと思います。
▶︎これまでの休職体験シリーズもあわせてどうぞ
・🌿【休職体験①】うつ病で休職を決めた瞬間
・🌿【休職体験②】最初の3ヶ月間は「何もできなかった」
・🌿【休職体験③】4〜6ヶ月目、「動けない自分」と向き合った日々
・🌿【休職体験④】誰よりも、自分を救うために。──休職して得た大切なもの
・🌿【休職体験⑤】給与ゼロの不安と傷病手当金──制度を知って救われた日
・🌿【休職体験⑥】医療費が助かる自立支援医療制度──知らなきゃ損する公的サポート
・🌿【休職体験⑦】地域の人とつながる──外に出ることの小さな一歩
・🌿【休職体験⑧】3つ目の病院へ──「変わるきっかけ」は小さな勇気だった
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。


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